ルーンの姫君《連載》
やさしいものが唇に触れ、熱い息が送り込まれ、私は再び頭がぼおっとなり体の力が入らなくなってしまった。


「格段に回復力もあがるのですが、どうも副作用があり、女をみだらにする媚薬の効果があるらしいですね。

短時間ならと思ったのですが、姫の様子があまりにも魅力的だったのでついいたずらの度が過ぎてしまったようです。申し訳ありません」


慇懃に頭を下げるゼルの頬を私は思わず叩いた。


「謝ることなら、最初からなさらないことですわ」

また余計なことを言ってしまった。


外の世界に出たばかりの雛の私。

そんな私を導いてくれる人。

不思議でやさしい

こうして側にいると胸が騒ぐ初めての人。

もっと素直にならなくては。

感じたままに。



「ゼル様は私の恩人ですわ。

そして私を気遣ってのこと。

心から礼を言います。

ありがとう。」


そして、私のせいで赤みのさした頬にそっと手をやると、
今度は私のほうからゼルの唇にそっと口づけた。


「姫...」




私達は何度も唇を重ねた。



----第1章:籠の鳥完----
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