■なづけびと■
いつも自分の事しか考えない優希とは違って、僕は優希の奴隷と化していた。

そんな僕の捉え方としては、優希は自分に自信がないんだろうと見下すしかなかった。

ある雨の日、4人の綺麗めな女性達が僕達に
「こんばんは」と言ってきた。

優希は自分が誘っておいて、タジタジになっているのを横目で見て笑う僕。

店は相手側女性のケツモチだって言っていた。

人数が明らかに見合わないと思ってはいたものの、外ヅラが良い優希には何のお構い無しの人数合わせな様で。

僕達は大人びた服装で、似合わないスーツを着込んだのは良いけれど、余りにもその模様は浮き上がるばかり。

その時、1人の女性が一言。
僕達が何も話さないからだろう。

A「君達は、何を召し上がるの?」

優希は強ばった様子で僕をチラリと見る。

刹那「大体…何でも大丈夫です。」

A「じゃあ、赤で良いのかしら。」

刹那「はい。」

返事をしたのは僕の方が先。
優希は永遠に、店内の壁に埋め込まれている鏡越しに映った自分の顔にそりゃあもう必死で。

B「あら、そこの金髪君と青髪君。自己紹介がないわね。それとも、私達が先の方が良いのかしら?」

僕は焦って、名乗る。

刹那「申し遅れました。私、【せつな】と申します。


BはAと笑って、次の言葉に迷っている様子。

優希「ぼ、ぼくは優希!ユーキ!ユーキ!!」

僕は焦ってテーブルの下で優希の足に蹴りをかます。

優希「…って!何すんだよ(ボソッ)」

A「可愛いじゃない(笑)青髪君、優希君?(笑)」

優希はドヤ顔で、【ほら、俺は間違ってないぞ】ってな模様で僕を睨みつけた。

刹那「皆様…本当に申し訳御座いません…。自分の友人が失礼致しました。良ければ、お姉様がたのお名前をお伺いしても宜しいでしょうか?」

僕が口を開くと、残りの2名が立ち上がった。

C「私、帰るね。ご馳走様。何も飲んでないけど。」

D「頑張ってね、A。じゃね、金髪君と青髪君。また。バイバイ!」
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