わたしにキセキがおきるなんて
「楽しそうだな。」
後ろから聞こえる声に
胸がつまった
「あら?高野社長!羨ましい〜?
うちの可愛い可愛い都築ちゃんとじゃれてて」
そんな風に話す由紀子さんの言葉に
マスク越しに顔が赤くなるのがわかった
「はあー?じゃれる前にやることあるだろ!
明日の会議の資料は?」
笑って流す社長に
また胸がしめつけられた
「あらやだ!も…もう少しでできるところなのよ!できたら持って行くから」
とすごいスピードで机にむかっていった
「これは今気づきましたって態度だよな…笑」
私に話しかけてるんだよね?
「…そうですね」
うまく言葉がでてこない
すると目が合った
「酒飲みすぎてないか?またあんなことにならないようにしろよ」
私にむけた言葉は
あったかくて
また切なくさせた
「…大丈夫です。気をつけてます。」
「ならいい。じゃあ。
早瀬に午前中までにもってこいって伝えて」
「はい。」
私の返事が聞こえたのか聞こえなかったか
もうわからないぐらいに
遠くに行ってしまっていた