わたしにキセキがおきるなんて
涙を拭って
気合いを入れた瞬間
ガチャ
「まだ残ってたのか。」
高野社長だった
「お...お疲れ様です。」
焦ってどもってしまった。
「1人か...。コーヒーでも飲む?」
といい、社長は給湯室に行った。
社長に作らせるなんて
と思って急いで私も後を追った
「私がやります。」
引き受けたのはいいけど、
すごく緊張する
狭い給湯室に社長と2人。
しかもこっち見てるし。
焦ってコップを落としそうになった
「しゃ...社長はブラックがいいですか?」
今度は声が裏返っちゃった
「ああ」
「都築は砂糖もミルクもたっぷり...だろ?」
え?びっくりして社長を見た
なんで知ってるの
目があった時間が長く感じた
「だってうちでコーヒー飲んだとき、都築がそうしてただろ?」
覚えててくれてたんだ
そう思うと
一気に顔が熱くなった
慌ててコーヒーを社長に渡し、
自分の分のミルクと砂糖を入れた。
「やっぱり」
と私を見て笑う社長に
顔が爆発するぐらい真っ赤になった
狭い給湯室の入り口に社長がいるから
この場を逃げだすこともできず、
ひたすらコーヒーをちびちび
飲んでいた
「都築は合コン、行きたかった?」
思わぬ発言に
喉を通りかかったコーヒーが戻ってきた
「ゴホッ...ゴホッ。なんで知ってるんですか。」
言ったのと同時に昼のことが
蘇った
あ、聞いてたんだっけ
「昼聞いたし。で、行きたかったの?」
真っ直ぐ目を見る社長に、
耐えられなくなり目をそらした