わたしにキセキがおきるなんて
あーあったかい
ふわふわしてる
気持ちいいー
家の布団ってこんなだっけ?
だんだんと意識がはっきりしてきた
え、どこ?
照明がついてなくて
あまりわからないけど、
だんだん目が慣れて見えるようになってきた
カーテンの隙間から漏れる光で
布団が黒なんだとか、
棚はうす茶色なんだとかが
わかったけど
どこ?
はっとして自分の服を見たけど
昨日と同じ
ニットにジーパン。
靴下なんかも履きっぱなし。
その姿にホッとしたけど
なんか虚しくもなった
向こうに部屋があるだろう
ドアに手をかけ
開けてみる
眩しい!
リビング?
やたらと大きい窓から差し込む光で
目がやられそうになった
TVで見るような
高層マンションのリビングだった
理解しようとしていると
ガチャ
「起きた?おはよう。」
普段着の社長がいた
「は?」
思わず出てしまった
「あーー昨日あれから意識とんで、
自宅知らないし、、タクシー待ってるしで、
いや何もしてないから。
部下を部屋に連れ込むなんてありえないし。
俺もテンパってこうなった…すまん。」
慌てる社長を見てたら
冷静なれた自分がいた
「いや、私が悪いので。
ほんとすみません!すぐ帰ります!!」
慌てて自分の荷物を探していると
「あ、朝食買ってきたんだけど。
食べるか?」
社長がさっき買ってきただろう紙袋の中から
コーヒー2つとサンドイッチを取り出していた
2つって…私の分だよね?
買ってきてくれたんだ。。
少しきゅんとした
「...すみません。頂きます!
ありがとうございます。」
社長と向かいあってご飯とか!!
すごく緊張するんだけど。
「砂糖とミルクいる?」
ビクッとしてしまった。
やばい緊張しすぎ。
「はい。」
たっぷりミルクと砂糖をいれて
口をつけると
二日酔いの体に甘いコーヒーが
染み込んでいった
そういえば昨日は
社長が水をくれたっけ。
昨日のことを思い出してると
「甘党なんだな。」
その声にまた現実に引き戻され
目の前の社長にドキドキした。
社長は手早く朝食を済ますと、
出掛ける準備をしだした。
「どこか出掛けるんですか?」
急いで私もコーヒーを飲み干す
「ああ、仕事がたまってるから会社にいく。」
休日なのに。
社長、会社行くんだ。
「まだ都築はゆっくりしていいから。
カギポストに入れてくれれば。」
ジャケットを羽織るとカギを机に置いた
「いえ!私も出ます!
本当にありがとうございました。
朝食まで頂いてしまって…。」
立ち上がり片付けようとすると
「置いておいて。 もう出るぞ。」
そしてマンションのエントランスまで
無言のまま
「家まで送って行くから、ちょっと待ってて。車だすから。」
社長が足早に車の方へ
「いえ!歩いて帰れますから。そこまで迷惑かけられません!
ありがとうございました。本当ご迷惑おかけしました。」
深々と頭を下げた
「いや別にいいのに。」
小声で答える社長に
食い気味で
「大丈夫です!ではまた月曜からよろしくお願いします!失礼します」
もう一度頭を下げ、社長の方に笑いかけて
後ろを向き家にむかった
最後まで失礼だったよね、
でも送ってもらうなんて
もっと失礼だし。
もやもやするのを吹き飛ばそうと
足早に家に帰った