美意識革命
「…森さん、実はモテますね。」
「それがですね、それから2年、彼女はいません。彼女どころか好きな人もいませんね。僕はまた誰かを好きになること、できるんですかね…。」
「え…意外!」
「僕、2つ目の秘密を話してしまいましたね。」
「えー今ので2つ目ですか?」
「2年前に失恋済、それからずっと彼女はいない。2つじゃないですか?」
「…それって、私にも2つ目を要求してますか?」
「…ははは、してないです。でも、また何か話したくなったら、話してほしいです。」
「え?」
「せっかく今日、聞けたので。」
そういう森の目はまっすぐでいて、優しかった。無理強いするわけでもなく、由梨のことを待つという言い方だった。
「…森さんの元カノさん、もったいないことしましたね。」
「どういう意味ですか?」
「何が理由か知らないですけど、こんな風にちゃんと話を聞いてもらえて、ちゃんと返事もしてくれて、何が不満だったのか私には全然わかりません。」
きっとこういうことがしたかった。目を合わせて、気持ちを、考えを確かめ合う。違うところがあればすぐに問い直す。言葉にすると固く感じるが、基本的な意思疎通を図りたかっただけなのだ。好きだとか、愛してるだとかそんな言葉が欲しかったんじゃない。隣を歩けないのなら、せめて背中を押したかった。そして押してもらいたかった。それがお互いがお互いのためにできる最後のことだと思ったから。
「…ありがとう、九条さん。」
「え?お礼を言うのは私じゃないですか?」
「何でですか?」
「泣き顔晒して、つまらない話を聞かせてしまいました。…すみませんでした。でも、話を聞いていただけてちょっとすっきりしました。」
「…それならよかった。それに、やっぱり僕もありがとうだと思います。」
「…質問返し、していいですか?」
「はい。だって、嬉しい言葉、いただいちゃったので。」
今日一番、優しくて可愛い笑みだ。(年上男性に可愛いと言っていいのかは別問題)
「…森さん、ありがとうございました。」
「こちらこそ、ありがとうございました。」
気付けば8時を過ぎている。少し肌寒くなってきた。4月下旬とはいえ、まだ朝晩はやや冷える。
「それがですね、それから2年、彼女はいません。彼女どころか好きな人もいませんね。僕はまた誰かを好きになること、できるんですかね…。」
「え…意外!」
「僕、2つ目の秘密を話してしまいましたね。」
「えー今ので2つ目ですか?」
「2年前に失恋済、それからずっと彼女はいない。2つじゃないですか?」
「…それって、私にも2つ目を要求してますか?」
「…ははは、してないです。でも、また何か話したくなったら、話してほしいです。」
「え?」
「せっかく今日、聞けたので。」
そういう森の目はまっすぐでいて、優しかった。無理強いするわけでもなく、由梨のことを待つという言い方だった。
「…森さんの元カノさん、もったいないことしましたね。」
「どういう意味ですか?」
「何が理由か知らないですけど、こんな風にちゃんと話を聞いてもらえて、ちゃんと返事もしてくれて、何が不満だったのか私には全然わかりません。」
きっとこういうことがしたかった。目を合わせて、気持ちを、考えを確かめ合う。違うところがあればすぐに問い直す。言葉にすると固く感じるが、基本的な意思疎通を図りたかっただけなのだ。好きだとか、愛してるだとかそんな言葉が欲しかったんじゃない。隣を歩けないのなら、せめて背中を押したかった。そして押してもらいたかった。それがお互いがお互いのためにできる最後のことだと思ったから。
「…ありがとう、九条さん。」
「え?お礼を言うのは私じゃないですか?」
「何でですか?」
「泣き顔晒して、つまらない話を聞かせてしまいました。…すみませんでした。でも、話を聞いていただけてちょっとすっきりしました。」
「…それならよかった。それに、やっぱり僕もありがとうだと思います。」
「…質問返し、していいですか?」
「はい。だって、嬉しい言葉、いただいちゃったので。」
今日一番、優しくて可愛い笑みだ。(年上男性に可愛いと言っていいのかは別問題)
「…森さん、ありがとうございました。」
「こちらこそ、ありがとうございました。」
気付けば8時を過ぎている。少し肌寒くなってきた。4月下旬とはいえ、まだ朝晩はやや冷える。