美意識革命
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　言ってしまったことを後悔はしていない。ただ、あんな顔をさせてしまったこと。そして3週間も暗い顔をさせてしまっていることは後悔している。
　ただ、どうしてもあの時我慢できなかった自分がいたのは確かで、それは仕方がなかったとも思っている。
　自分のことを考えて選んでくれた時間が尊くて、一緒に帰ろうなんて言ってくれる姿が可愛くて、その上、自分のことを知りたいとまで言ってくれることも全てが嬉しかった。隣を歩いていいのならば、歩きたいと思ってしまった。だからこそ、出てきてしまった言葉。落ちた言葉は取り戻せないし、時間だって巻き戻せない。あの表情が、焼き付いて離れない。

「…間違ったんだなぁ…また。」

　いつも、言うタイミングを間違えるようだ。前の彼女ともそうだった。きっと許し合えただろうレベルの口論。ただ、自分が間違えて発した言葉は彼女を深く傷つけてしまったようだった。それからは、言葉に気を付けていたはずだったのに。

「…ごめんなさい、九条さん。」

　謝れるのならば、ちゃんと謝りたい。隣を歩くことを許されなくていいから、せめて普通に話せる仲に戻りたいなんて言ったら、それはそれで失礼なのだろうか。
　後悔しても、彼女を想う気持ち自体はなくならないけれど、それが彼女の重荷になるくらいなら消えたことにしてもいいから。どうかもう一度やり直すチャンスがほしい。

　7月の中旬にさしかかる。彼女をこれ以上悩ませたくない。せっかく前を向き始めたのだから。
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