美意識革命
― ― ― ― ―
ジムのスタッフ専用のドアの前で待つ。ぬるい風が時折吹いて、由梨の髪を揺らした。
「も、森さん!」
「九条さん!」
驚いている、これは、とても。一瞬でわかった。ただ、目だけはすぐに優しいものに変わった。
「この後、時間、ありますか。」
「え、は、はい。」
「…急で申し訳ないんですけど…。」
「はい。」
「うちに来てもらってもいいですか?」
「え…えぇ!?」
さっきよりも驚いている。しかし、由梨はひるまずに言葉を続けた。
「…話を、聞いてもらいたいです。あと、謝りたいです。」
「謝るのは僕の方じゃないですか。」
「い、いえ!森さんが謝る必要はないんですけど、私は…言わなきゃいけないことがあって…。あと、渡したいものも…あって。だからうちに来てほしいんです。」
由梨はなんとか言い終えた。段々目線を合わせられなくなって、最終的に今、森の肩を見つめている。
「…僕もちゃんと話したいです。お邪魔してもいいですか。」
「は、はいっ!」
森とようやく目を合わせることができる。森は少し困った顔をしながらも微笑んでくれた。それだけで安心できるから、森の笑顔の威力は凄い。
森が由梨の隣に並ぶ。こうして隣を歩くとより、落ち着ける。もちろん、これから言うことや聞くことに不安が全くないわけではないけれど、森なら聞いてくれる、話してくれる、そんな気がするからだろう。
「…仕事でお疲れなのに、すみません。」
「いいえ。九条さんとちゃんとお話できることの方が今は大事です。」
「…ありがとう、ございます。」
「はい。」
あれだけ失礼な態度をとったのにも関わらず、森は変わらず接してくれる。ちゃんと伝えなくてはならない。思っていることを全て。そして聞かなければならない。森が何を考えているのかも。
ジムのスタッフ専用のドアの前で待つ。ぬるい風が時折吹いて、由梨の髪を揺らした。
「も、森さん!」
「九条さん!」
驚いている、これは、とても。一瞬でわかった。ただ、目だけはすぐに優しいものに変わった。
「この後、時間、ありますか。」
「え、は、はい。」
「…急で申し訳ないんですけど…。」
「はい。」
「うちに来てもらってもいいですか?」
「え…えぇ!?」
さっきよりも驚いている。しかし、由梨はひるまずに言葉を続けた。
「…話を、聞いてもらいたいです。あと、謝りたいです。」
「謝るのは僕の方じゃないですか。」
「い、いえ!森さんが謝る必要はないんですけど、私は…言わなきゃいけないことがあって…。あと、渡したいものも…あって。だからうちに来てほしいんです。」
由梨はなんとか言い終えた。段々目線を合わせられなくなって、最終的に今、森の肩を見つめている。
「…僕もちゃんと話したいです。お邪魔してもいいですか。」
「は、はいっ!」
森とようやく目を合わせることができる。森は少し困った顔をしながらも微笑んでくれた。それだけで安心できるから、森の笑顔の威力は凄い。
森が由梨の隣に並ぶ。こうして隣を歩くとより、落ち着ける。もちろん、これから言うことや聞くことに不安が全くないわけではないけれど、森なら聞いてくれる、話してくれる、そんな気がするからだろう。
「…仕事でお疲れなのに、すみません。」
「いいえ。九条さんとちゃんとお話できることの方が今は大事です。」
「…ありがとう、ございます。」
「はい。」
あれだけ失礼な態度をとったのにも関わらず、森は変わらず接してくれる。ちゃんと伝えなくてはならない。思っていることを全て。そして聞かなければならない。森が何を考えているのかも。