美意識革命
「…私、最低ですね。」
「どうしてですか?」
「森さんの気持ちに対する答えを言っていないのに、この有り様です。」
「…いいんですよ。僕にとってもラッキーなんで。」
「…森さん、本当に優しすぎますよ、利用されちゃいます。」
「九条さんに利用されるならいいんですって。」
だめだ。森はまだ涙腺を刺すことをやめないつもりらしい。
「…ちょっと、いつ盛大に泣きだすかわからないので、このまま話してもいいですか。」
「役得ですけど…いいんですか?」
「…はい。目を見て話せなくてすみません。」
「いいですよ。僕はこのままでも嬉しいので。」
由梨はゆっくりと深呼吸をした。森の匂いが鼻をくすぐる。
「…森さんみたいに、…私もちゃんと、気持ちを伝えられるように、…なりたいんです。」
「はい。」
「…でも、結局逃げるし、こうやって甘えるし、できないことばかりで。」
「…はい。」
「元カレと関係が終わりになって、自分なりに…色々頑張ってみました。ジムもその一つです。森さんにたくさん話を聞いてもらって、前を向けるようになったって思ってました。でも、…違いました。」
「違いましたか?」
由梨は頷いた。前を向いていたようで、結局問題の本質からは目を背けていたような気がする。
「…怖いんです。もう1度誰かを好きになるのが。…自信がほしいのは、そう、なんですけど。」
「自信って、どういう類の自信ですか?」
「え?」
由梨は顔を上げた。森がゆっくり口を開いた。
「九条さん、見た目の自信はもういいって言ってましたよね。他には何についての自信が欲しいんですか?」
これは、もしかしたら見た目も含んでいるのかもしれない。しかし、森の想いに向き合う自分に必要な自信は、多分一つだ。
「…恋愛がちゃんとできる、自信です。」
「どうしてですか?」
「森さんの気持ちに対する答えを言っていないのに、この有り様です。」
「…いいんですよ。僕にとってもラッキーなんで。」
「…森さん、本当に優しすぎますよ、利用されちゃいます。」
「九条さんに利用されるならいいんですって。」
だめだ。森はまだ涙腺を刺すことをやめないつもりらしい。
「…ちょっと、いつ盛大に泣きだすかわからないので、このまま話してもいいですか。」
「役得ですけど…いいんですか?」
「…はい。目を見て話せなくてすみません。」
「いいですよ。僕はこのままでも嬉しいので。」
由梨はゆっくりと深呼吸をした。森の匂いが鼻をくすぐる。
「…森さんみたいに、…私もちゃんと、気持ちを伝えられるように、…なりたいんです。」
「はい。」
「…でも、結局逃げるし、こうやって甘えるし、できないことばかりで。」
「…はい。」
「元カレと関係が終わりになって、自分なりに…色々頑張ってみました。ジムもその一つです。森さんにたくさん話を聞いてもらって、前を向けるようになったって思ってました。でも、…違いました。」
「違いましたか?」
由梨は頷いた。前を向いていたようで、結局問題の本質からは目を背けていたような気がする。
「…怖いんです。もう1度誰かを好きになるのが。…自信がほしいのは、そう、なんですけど。」
「自信って、どういう類の自信ですか?」
「え?」
由梨は顔を上げた。森がゆっくり口を開いた。
「九条さん、見た目の自信はもういいって言ってましたよね。他には何についての自信が欲しいんですか?」
これは、もしかしたら見た目も含んでいるのかもしれない。しかし、森の想いに向き合う自分に必要な自信は、多分一つだ。
「…恋愛がちゃんとできる、自信です。」