美意識革命
「契約、どうされますか?」
「していきます!」
「やる気ですね!応援します。」

 本来それが目的なのだ。心も体もいい女になること。それが由梨の絶対目標なのである。こんなところで少女漫画みたいにときめいている場合じゃない。それにそもそもときめくようなシチュエーションでもない。担当であり、説明をしてくれているだけだ。

「ではこちらへどうぞ。」

 椅子を引かれて、そこに座る。契約書をスタッフルームから取ってきて、目の前に広げてくれた。

「こちらの申込用紙の、この丸がついているところに記入していただけますか。」
「はい。あ、ありがとうございます。」

 一通り記入し終わり、顔写真を撮影し、鍵をもらう。

「今日からやっていきますか?」
「あ、えっと着替えてからまた来ます。」
「ご自宅、近いんですか?」
「はい。すぐそこなんです。」
「僕も近所なんですよ。通勤が徒歩なのは楽でいいです。九条さんも近いなら通いやすいですね。」
「そうですね。頑張ります!目標のために!」
「はい。」

 そうだ。恋はしばらく必要ない。自信を取り戻すために、今自分ができる最大限のことをやる。減量、引き締まった身体を手に入れてやる。
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