ずっと、君との約束を。
「よし、これでだいたい周ったかな。」
「ごめんね、放課後まるまる潰させちゃって。」
「いいよいいよ。僕としても比嘉さんと話ししてみたかったし。寮の方は案内しなくてもいいんだっけ?」
今日一日一緒にいてわかったけど、この人はとてもいい人だ。そして話しやすい。
私のことを考えて話を振ってくれる。
学級委員をやっているだけあって、人望もあるだろう。
「うん、大丈夫。アパートに越してきたから。」
「そうなんだ。ご家族は?」
「…家族はいないんだ。ひとりっ子で、母は半年前に亡くなった。父は小さい頃に…。」
「…ごめん、無神経だったね。…でも、どうしてここに引っ越してきたの?」
この人になら頼ってもいいかな。
これまでこの話をする度に馬鹿にされてきたけど、この人は茶化さずに聞いてくれそう。
「実は、私幼い頃の記憶がないんだよね…。父を亡くしたときに記憶も失ってて。でも、唯一覚えてることがあるんだ。『僕は君の味方だよ』っていう男の子の声なんだけど、その子に会いたくて…。ちょっとロマンチストすぎるかな…?」
「………いや、いいんじゃない?可愛いじゃん。」
「…ありがとう。」
ここでいい人に出会えて、良かった。