ずっと、君との約束を。
「…桐生くんさ…放課後はいつもここにいるの…?」
「だっから…あんた今日一日ずっと俺にくっついてんじゃねぇかよ。いい加減にしろよ。」
ここは学校の屋上。この学校はちょっとした丘のうえに立っているため、景色がとても綺麗だ。
今日一日しつこく付き纏った私に、桐生くんは怒りというよりも呆れのため息をついた。
「それは…ごめん。桐生くんの声が知り合いの子に似てたから…。気になっちゃって。」
「……あ、そ。」
「『僕は君の味方だよ』って言ってくれた男の子がいたの。…知らないかな?」
「………さぁな、知らねぇよ。」
「…そっ、か。」
転校早々に約束の子が見つけられると思ったんだけどなぁ…。
でも、私が約束した男の子はこんないかつい不良じゃなくて、もっと優しそうな可愛い男の子だった。
…例えば、佐々木くんみたいな。
「もういいだろ。明日からは話しかけてくんなよ。」
「えっ…やだよ。私は桐生くんと仲良くしたい。」
「お前、俺が誰かわかって言ってんのかよ」
「サボり魔の桐生“センパイ”…でしょ?」
「…知ってんのかよ…。もう勝手にしろよホントに…。」
実は彼はそんなに悪い人ではなさそうだ。
わたしがしつこく付き纏っても、怒鳴ったりしないし
私が質問をすると、無視せずに何かしらの答えをくれる。
私は桐生くんをクラスの輪にいれてあげたい。先輩だからとか、不良のだからとか関係なく、私はこの人とこの一年楽しく過ごしたいと思っている。