ずっと、君との約束を。

「…桐生くんさ…放課後はいつもここにいるの…?」

「だっから…あんた今日一日ずっと俺にくっついてんじゃねぇかよ。いい加減にしろよ。」

ここは学校の屋上。この学校はちょっとした丘のうえに立っているため、景色がとても綺麗だ。
今日一日しつこく付き纏った私に、桐生くんは怒りというよりも呆れのため息をついた。

「それは…ごめん。桐生くんの声が知り合いの子に似てたから…。気になっちゃって。」

「……あ、そ。」

「『僕は君の味方だよ』って言ってくれた男の子がいたの。…知らないかな?」

「………さぁな、知らねぇよ。」

「…そっ、か。」

転校早々に約束の子が見つけられると思ったんだけどなぁ…。
でも、私が約束した男の子はこんないかつい不良じゃなくて、もっと優しそうな可愛い男の子だった。
…例えば、佐々木くんみたいな。

「もういいだろ。明日からは話しかけてくんなよ。」

「えっ…やだよ。私は桐生くんと仲良くしたい。」

「お前、俺が誰かわかって言ってんのかよ」

「サボり魔の桐生“センパイ”…でしょ?」

「…知ってんのかよ…。もう勝手にしろよホントに…。」

実は彼はそんなに悪い人ではなさそうだ。
わたしがしつこく付き纏っても、怒鳴ったりしないし
私が質問をすると、無視せずに何かしらの答えをくれる。
私は桐生くんをクラスの輪にいれてあげたい。先輩だからとか、不良のだからとか関係なく、私はこの人とこの一年楽しく過ごしたいと思っている。
< 8 / 30 >

この作品をシェア

pagetop