白雪姫

私がそう落ち込んでいると

「きゃっ」

つめたい!

どこからか飛んできた雪の球が私にあたった。

飛んできた方を見ると、柊馬がいた。

彼はいたずらっ子のような無邪気な笑顔でこちらを見て笑っている。

悔しい!

私は雪の球を作り、柊馬に投げつけた。

「つめたっ!」

見事に柊馬に命中した。

「やったー!」

私が喜んでいると

「雪だー!」

と子どもたちの楽しそうな声が聞こえてきた。

上を見上げるとたくさんの雪が降ってきていた。

窓から見る雪よりよっぽどきれいだ。

手を出すと手のひらに雪が落ちる。

何年ぶりだろうか、降っている雪に触れたのは。

降ってくる雪は太陽の光に照らされて白く輝いている。

私が雪を眺めていると「結姫」と愛する人の声がした。

見ると隣に柊馬が立っていた。

「きれいだな」

「うん」

柊馬の言葉にうなずく。

彼の左手がそっと私の右手を包んだ。

胸が高鳴る。

やっぱり私はこの人が好きなんだ。

みんなは雪合戦をやめ、降ってくる雪をみながら相変わらずはしゃいでいた。

私たちは手を繋ぎながらそんな光景をしばらくの間眺めていた。

< 104 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop