白雪姫


俺はゆっくりと結姫から離れるとそっと雪の球を投げた。

「きゃっ」

見事に球は結姫に命中した。

驚いている結姫を見て俺が笑っていると、結姫が不機嫌そうな顔でこちらを見た。

なんだかその顔が可愛らしく、思わずにやけてしまった。

「つめたっ!」

にやけていると高速の雪の球が俺に命中した。

「やったー!」

と結姫の楽しそうな声が聞こえる。

不意をつかれた。

なんだか悔しい。

すると

「雪だー!」

と子どもたちの楽しそうな声が聞こえてきた。

上を見上げるとたくさんの雪が降ってきていた。

降ってくる雪は太陽の光に照らされて白く輝いている。

結姫はそんな雪を眺めていた。

その横顔はとても美しかった。

まるで雪を眺めている白雪姫のように。

そんな彼女の隣に立ち「結姫」と愛する人の名前を呼んだ。

「きれいだな」

「うん」

結姫は俺の言葉にうなずく。

彼女の左手を俺の右手で包み込んだ。

胸が高鳴る。

やっぱり俺は結姫が好きなんだ。

みんなは雪合戦をやめ、降ってくる雪をみながら相変わらずはしゃいでいた。

俺たちは手を繋ぎながらそんな光景をしばらくの間眺めていた。
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