白雪姫

「できたっ!」

良子はとても満足げに笑った。

「はい」

そう言って鏡をてわたされた。

なんだか鏡を見るのが怖い。

だめだ、自分と向き合わなきゃ。

勇気を出して鏡を見ると、そこには今までに見たこともないような私がいた。

自分で言うのも恥ずかしいのだが、本物の白雪姫が鏡にうつっているようだった。

私が鏡の中の自分に見とれていると

「結姫ちゃん?」

と明子さんの声がした。

見ると明子さんが目を輝かせていた。

「可愛い!白雪姫がもっと美しくなっちゃったわね」

「えっ?」

照れ臭いけれどなんだか嬉しい。

あれ?

もしかしてさっき鏡を見てにやけているのを見られてしまった...?

そう思うと一気に顔が熱くなる。

「白雪姫!」

「可愛い!」

「すてき!」

と子どもたちがベットの周りに駆け寄ってきた。

「絵本読んでくれる人がいなくてつまんなかったんだよ!」

「寂しかったよぉ」

子どもたちは頬を膨らませている。

「ごめん、ごめん。また読んであげるから」

私がそう言うと子どもたちの表情が一気に明るくなった。

「ほんと!やったー!」

「白雪姫読んで!」

と子どもたちの元気な声が病室の中に響いた。

「ありがとう、良子」

「ん?」

「私がこうやってみんなの笑顔を見られたのは良子のおかげだよ」

「うん、よかった」

「うん」

「またみんなで笑いあえるね」

「うん」

良子の言葉に涙が溢れそうになる。

またみんなに会えるんだ。

また愛する人に会える。

なんだか待ち遠しい......

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