大切なキミの一番になりたかった。
一馬の言う通り、そのうち美野里たちが来てお母さんも帰ってくるか、「急患で遅くなる」って連絡がくるよね。

そう思って料理やケーキの準備を進めていたんだけど……。

「おかしいな、美野里もユウくんも出ないなんて」

十八時になってもふたりは来ず、電話をかけてみても出ない。これにはさすがの一馬も狼狽え始めた。

「いったいどこでなにやっているんだよ」

お母さんも帰ってこないから、余計に焦りを覚えてしまう。

「一馬、私近くを見て来る」

「えっ」

「もしかしたら、もうすぐそばまで来ているのかもしれないし」

なにより心配で居ても立ってもいられないよ。

エプロンを脱ぐと一馬が慌てて言った。

「だったら俺が行く。知花は家にいろ。おばさんから電話がかかってくるかもしれないだろう?」

「でも……」

外はまだ大粒の雨が降っている。今日は一馬の誕生日なのに……。

迷う中、家の電話が鳴った。

「一馬、ちょっと待ってて!」

もしかしたらお母さんか、美野里たちかもしれない。急いで電話に出た。
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