大切なキミの一番になりたかった。
たまらず一馬は立ち上がり、お母さんに詰め寄った。

するとお母さんは視線を落とし、首を横に振った。

「そんな――……」

愕然とする一馬。おじさんがそっと背中を撫でた瞬間、一馬は声を上げて泣いた。

胸を引き裂かれてしまうほどの、一馬の悲痛な泣き声は私の心をどん底へと突き落としていく。

信じたくない、受け入れたくないこんな現実。なのに涙が溢れて止まらないのはなぜだろう。

どんなに私たちが泣き叫んでも、美野里は目を覚まさない。

変わり果てた姿で瞼を閉じベッドに横たわったまま。

私と一馬は涙が枯れるまで泣き続けてしまった。



それから数日後。美野里の葬儀、告別式が執り行われた。

たくさんの友達たちが参列する中、入院中のユウくんと、一馬の姿はなかった。

葬儀も告別式も私はなぜか泣けなかった。

本当に美野里がいなくなってしまったことが、実感できなくて……。涙する友達たちを茫然と眺めていた。
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