大切なキミの一番になりたかった。
「知花、勇心くんだいぶ回復してきたし……一度、お見舞いに行ってみる?」

「え……」

お母さんにそんな提案をされたのは、美野里が亡くなって二週間。

日勤のお母さんと夕食を共にしているときだった。

美野里の葬儀、告別式以来、家に閉じこもったまま過ごしていた。

なにかをする気も起きない。なにも考えたくない。無気力にただ時間だけが流れていく。

そんな日々を過ごしていた。だからずっとユウくんにも会っていない。もちろん一馬にも。

でもお母さんから、ユウくんは順調に回復していると聞いていた。

なのになぜかお母さんは浮かない表情。「どうしたの?」と尋ねると、その理由を話してくれた。


「勇心くん、順調に回復しているんだけどね……元気ないし、食事もほとんど取らないのよ。声をかけても頷くだけで……。樋山さんから聞いたんだけど、美野里ちゃんのことを話した時、勇心くんあまりのショックで泣くこともなかったみたいで……」

言葉を濁すお母さんに、胸が痛む。
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