大切なキミの一番になりたかった。
ユウくんは美野里のこと、すごく可愛がっていた。たまに美野里に嫉妬しちゃうくらいに。

突然大切な人を失った悲しみは、痛いほどわかる。

わかるからこそ、ユウくんの今の気持ちを思うと胸が痛んで仕方ないよ。

苦しさに耐えるように唇をギュッと噛みしめた。するとお母さんは私の様子を窺いながら話を続けた。

「一馬くんも、自分の部屋に閉じこもったままらしいの」

そうだよね。きっと美野里を失い一番苦しいのは一馬のはず。好きな人を突然失ってしまったのだから。


「ねぇ、知花……あなたも美野里ちゃんが突然いなくなって、辛いと思うわ。でもこのまま三人とも塞ぎ込んだままでいいの?」

「それは……」

言葉に詰まる。そんなの、もちろん答えはNOだ。

このままずっと私もユウくんも一馬も、塞ぎ込んだままでいいはずがない。

「大切な人を失ってしまった悲しみはお母さんも知花もよくわかるわよね? だからこそ知花にしかできないことがあるんじゃないかな」
< 24 / 50 >

この作品をシェア

pagetop