大切なキミの一番になりたかった。
「……私にしかできないこと?」

思わず聞き返してしまうと、お母さんは深く頷いた。


「えぇ。……お父さんが亡くなって、悲しみのどん底にいた知花を美野里ちゃんたちは、どんな風に救ってくれた? 今の知花がいるのはどうして? ……今度は知花が支えてくれた勇心くんと一馬くんを支える番じゃないかな? 美野里ちゃんはそれを望んでいるとお母さんは思うわ。美野里ちゃんってそういう子でしょ?」


「ね?」と言って微笑むお母さんに、胸が熱くなる。

お母さんの言う通り、美野里はそういう子。

きっと今の状況を見たら自分も辛いくせに我慢して必死に明るく振る舞って励ましてくれると思う。

『大丈夫、私がいるよ。それにおじさんだって知花がいつまでも元気なかったら、心配でたまらないはずだよ』

『私はなにがあってもそばにいるから。ずっと』

脳裏に浮かぶのは、美野里がかけてくれた言葉たち――。
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