大切なキミの一番になりたかった。
私……どうしてもっと早くユウくんに会いに来なかったんだろう。

かける言葉なんていらなかった。そばにいるだけでよかったんだ。

私だってそうだったじゃない。美野里たちがそばにいてくれるだけで心強かった。


私以上に辛いお母さんに、心配かけたくなくて気丈に振る舞っていた。だけどお母さんに言えない悲しみや苦しみ、三人にだけは弱音を吐くことができた。

なのにどうして気づけなかったのかな? こうしてそばにいるだけで悲しみを吐き出すことができるってことに……。


泣き止むまでずっと彼の身体を抱きしめ続け、どれくらいの時間が過ぎただろうか。

ユウくんは落ち着いたのか、小さく息を漏らした後、ポツリポツリと語り出した。

「ずっと……夢の中にいるみたいなんだ。……今が現実なんだって受け入れられなくて……」

私は彼の話に耳を傾けながら、ベッド脇にあったパイプ椅子に腰を下ろした。

「目を覚ました時、父さんと母さんは憔悴しきっていて……。『無事でよかった』って泣きながら言うんだ」

拳をギュッと握りしめ、ユウくんは話を続けた。
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