大切なキミの一番になりたかった。
「おじゃましまーす!」

「おじゃまします」

元気いっぱいな美野里とクールな一馬。ふたりとは同い年で幼なじみ。

中学二年生になった今も、こうして学校以外でもよく会っている。

「知花、今日ね私と一馬でお弁当作ってきたんだ!」

「え?」

リビングへ案内するなり、言われた一言にキョトンとしてしまう。そんな私に一馬は照れ臭そうに紙袋を差し出した。

「美野里と作ったから味の保証はできないけど。……たまには楽しろよ」

「一馬……」


ぶっきらぼうな言い方だけど、顔を見ればこれが一馬の精いっぱいだってわかる。チラッと美野里を見れば、「受け取ってあげて」と目で訴えていた。

「ありがとう、一馬。……いつも心配してくれて、本当にありがとうね」

受け取り感謝の気持ちを伝えると、一馬はますます照れ臭そうに「別に」なんて言いながら視線を泳がせた。

すると見かねた美野里は一馬の背中に抱きついた。

「もー! どうして一馬は素直じゃないのかなぁ。まぁ、そこが可愛いけど!」

「バカ! 離れろよっ」

「別にいいでしょ? 彼女なんだから!」

ふたりのやり取りに笑ってしまう。
< 4 / 50 >

この作品をシェア

pagetop