極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
もうこれは夢なのかな…なんて、そんな現実逃避みたいな気持ちにさえなってくる。

そもそも友達と来たはずの本来の予定を放ったらかして素性の知れない男に付いてきた上に、謎のパーティーに参加している自分自身が一番こわい。

中途半端に冷静になった頭に湧き上がる疑問と不安を拭えないまま、すぐそばにある端整な顔をちらっと見上げた。

「どうかした?茜」
「い、いえ!なんでもありません」

心配そうな表情を浮かべる彼の瞳に吸い込まれそうになり、耐えられずに目を逸らす。

その美しい顔からの急な呼び捨てに耐えられる技量も経験も持ち合わせておりません…

度々やってくるそんなドキドキと、次々に挨拶にやってくるおじさま方や突き刺さる綺麗な女性方からの視線に耐えながら…私はただただ、笑顔を作り続けるのだった。
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