極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
―1週間前、出張前日。
「社長。明日からの出張の件、急遽入れることになってしまい申し訳ありませんでした」
「いや、相手方の予定もあったしお前が謝ることじゃない」
「いえ、日程の都合がつけられなかったのは私の力不足です」
いつも完璧すぎるくらいに仕事をこなす有能秘書が珍しく肩を落とし、うなだれている。
日程の変更は仕方のないことだし、なぜユウはこんなにも気にしているのだろう。
「お前にそんなに謝られると調子が狂うからやめてくれ」
「さすがに今回は。当日は何かお贈りになられますか?手配するなら…」
「ちょっと待て、当日?さっきからなんのことを言ってるんだ?」
「…もしかしてご存知ありませんか?14日は茜様のー…」
―――……
そんなこんなで、茜の誕生日が今日であることはユウから聞いて知っていた。
寝ずに仕事をしてでもなんとか予定を早めて間に合わせるつもりではいたけれど、絶対という確証が無かったから茜に約束は出来なくて。
実際今回のことがなくても、結構ギリギリだったしな。
大切な1日をきちんと祝ってあげられなかったことが悔しくて、不甲斐ない。
「…やられたなぁ」
「え?」
目の前のケーキ、机の上の花束…そしてなによりも今日の一連の出来事。
どこまでも茜への愛情に溢れている全てが、俺の心を嫉妬させた。