極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
「…っ?」
ぼんやりとかすむ意識の中、ゆっくりと開けた視界に見知らぬ天井を捉えて思わずぱちぱちと瞬きをする。
あれ、私どうしたんだっけ…
曖昧な記憶の糸を手繰り寄せるより先に耳に届いたのは、ガチャリ…とドアが開く音。
「…あ、起きた?」
そして、どこかで聞いたことのあるような声。
「…っ!」
顔を上げた先に見えた上半身裸の男の人の姿を見て、急速に意識がはっきりした。
「コーヒーでも飲む?」
濡れた頭をタオルで拭きながらこちらに向かってくるその人が『相沢さん』であることを思い出す。
次の瞬間、反射的にシーツの中の自分の体を覗き込んだ私の頭は…さらにひんやりと冷えていく。
わ、私…もしかしてやらかした?
「昨日は助かったよ、ありがとう」
「い、いいえ…?」
片方の口角だけを辛うじて上げて、どこまでも爽やかな目の前の彼に返事をする。
おそらく愛想笑いにすらなっていないけれど、それが私の表情筋の限界だった。