極上求愛～過保護な社長の新妻に指名されました～
「顔見たら帰るって言ったじゃないですか」
「状況は刻一刻と変化するものです」
「何さも当たり前かのように言って…」
「あーもういいから！とりあえず寝てて！」

あれから半ば無理やり部屋の中に上がり込んだ私はふらふらした足取りの槙くんを支えながら寝室に戻り、強制的にベッドの上に彼を寝かせていた。

「なにか食べた？」
「…栄養ドリンク」

それ食べ物じゃないから！と思わず出そうになった突っ込みは、病人の前だと思い飲み込んで代わりに息を吐く。

それから目を閉じて思っていたよりもすぐに大人しくなった槙くんを残して、私はキッチンへと向かった。

「ほんとに何もない…」
開けた冷蔵庫は予想通りというか。中には栄養ドリンクとほんの少しの調味料が入っているだけで、食材と呼べるものは何も入っていなかった。

これじゃあ治るものも治らないわけだ。少しでも栄養の付くもの、お腹に入れた方がいいよね…

そうは思うものの、目の前の冷蔵庫の中身と買ってきたスーパーの袋の中身を見つめながら頭を悩ませる。

「…悩んでる間に行ってこよ」
買ってきたフルーツをとりあえず冷蔵庫に入れてから、私は財布と携帯だけ持って外に出た。



< 137 / 208 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop