極上求愛～過保護な社長の新妻に指名されました～

なんで最寄りのスーパーまでこんなに遠いの…

勢いよく飛び出したものの、近辺の土地勘もなく無駄に遠回りをしてようやくスーパーに辿り着き。あれよこれよと考えているうちに膨れ上がった荷物を両手に持って、フラフラと槙くんのマンションへ向かって歩いていると…

「茜ちゃん？」
「え？」
振り返ると、サングラスをした女性が窓を開けた車の中から私のことを見ていた。

「あ、ごめんね…わたしわたし」
その動きすら上品に見える所作で外されたサングラスの奥に見えた瞳に、思わず驚いてしまう。

「っ、里香さん！なんでここに…」
「私の家この辺なの。今帰るとこで…」

確かにここは高級住宅街だ。芸能人が住んでいてもおかしくはないにしても…まさかプライベートで偶然里香さんに会うだなんて思いもしなかった。

「なんか重そうだし、乗っていく？」
「いえ、そんな！」
一瞬私の持つ荷物に目をやった里香さんからの提案に慌てて手を振ろうとしたけれど、両手がふさがっていてそれができずに思わず勢いよく首を横に振る。

「そんなに全力で遠慮しなくても」
私の反応に少し寂しそうな表情を浮かべた里香さんに…申し訳なくて一度は断ろうとしたそのお誘いを受けることにした私は、結局そのまま車に乗せてもらうことになった。