極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
「相沢社長」
アイツの顔を見たら、何も言わずにただ見送ることは出来なくて。
編集長と別れたタイミングで立ち上がり、エレベーターを待つ相沢に声を掛けた。
俺が小学校に上がる前に、両親が離婚した。
経済的に余裕のあった父親に姉の里香と共に引き取られた俺たちに新しい母親が出来たのは、それからわりとすぐの話で。けれど新しい母親とうまく折り合いがつけられなかった俺にとっては、里香の方がよっぽど母親みたいな存在だった。
そんな里香が相沢と付き合い始めたのは、俺がまだ小学生のガキの頃だったか。
それでも子どもながらに、アイツのいないところで何度も泣いている里香のことが心配で仕方がなかった。
「なんで悲しいのに、一緒にいるの?」と聞いた俺に、里香はいつも「大好きだからだよ」と答えた。
それがあの頃の俺には理解ができなくて。ただ早く大人になって里香のことを守ってやるんだとか、いつか相沢に痛い目見せてやるんだとか、考えていた気がする。
…それから少しして、相沢と別れた里香はそれを吹っ切るように仕事に没頭し始めて。
大学生活との両立は簡単なものではなかったはずなのに、弱音一つ見せない姉の後姿はいつも俺の憧れだった。
アイツの顔を見たら、何も言わずにただ見送ることは出来なくて。
編集長と別れたタイミングで立ち上がり、エレベーターを待つ相沢に声を掛けた。
俺が小学校に上がる前に、両親が離婚した。
経済的に余裕のあった父親に姉の里香と共に引き取られた俺たちに新しい母親が出来たのは、それからわりとすぐの話で。けれど新しい母親とうまく折り合いがつけられなかった俺にとっては、里香の方がよっぽど母親みたいな存在だった。
そんな里香が相沢と付き合い始めたのは、俺がまだ小学生のガキの頃だったか。
それでも子どもながらに、アイツのいないところで何度も泣いている里香のことが心配で仕方がなかった。
「なんで悲しいのに、一緒にいるの?」と聞いた俺に、里香はいつも「大好きだからだよ」と答えた。
それがあの頃の俺には理解ができなくて。ただ早く大人になって里香のことを守ってやるんだとか、いつか相沢に痛い目見せてやるんだとか、考えていた気がする。
…それから少しして、相沢と別れた里香はそれを吹っ切るように仕事に没頭し始めて。
大学生活との両立は簡単なものではなかったはずなのに、弱音一つ見せない姉の後姿はいつも俺の憧れだった。