極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
――そして、とっくに定時を過ぎた午後8時。
「こんなに時間がかかると思ってなかった…」
早急に手直ししなければいけない案件ができ、私は残って編集作業に追われていた。
…各自予定があった他の同僚たちを帰して仕事を引き受けた結果、槙くんと2人で。
「ごめんね、付き合わせちゃって」
「いえ、特に予定も無かったし…元々時間を作ってほしいとお願いしたのは俺の方だったので」
「…ありがとう、助かる」
沈黙が堪えられなくて口を開いてみるけれど、会話は全く続かない。
こうなったらもう早く終わらせて、早く話を始めよう…!
心の中で密かにそんな決意をし、黙々と作業をこなしていこうと改めて気を引き締めたとき。
「茜先輩」
「っ、はい!?」
そんな矢先に突然向こうから声を掛けられて、思わず声が裏返った。
「さすがに職場で取って食ったりしませんから、安心してください」
「真顔でそういうこと言わないでよ…」
いつかの初々しい天使の槙くんは一体どこへ…なんてしょうもないことを考えていると、目の前の瞳がすっと優しく細められた。
「さっきからなんなんですか、その百面相」
「えっ、そんなに変な顔してた!?」
「面白いからいいですけど」
「面白いって、女子としては複雑なんだけど…」
話す口調は天使じゃないけれど…不覚にも、目の前にある笑顔はやっぱり天使だと思った。
「こんなに時間がかかると思ってなかった…」
早急に手直ししなければいけない案件ができ、私は残って編集作業に追われていた。
…各自予定があった他の同僚たちを帰して仕事を引き受けた結果、槙くんと2人で。
「ごめんね、付き合わせちゃって」
「いえ、特に予定も無かったし…元々時間を作ってほしいとお願いしたのは俺の方だったので」
「…ありがとう、助かる」
沈黙が堪えられなくて口を開いてみるけれど、会話は全く続かない。
こうなったらもう早く終わらせて、早く話を始めよう…!
心の中で密かにそんな決意をし、黙々と作業をこなしていこうと改めて気を引き締めたとき。
「茜先輩」
「っ、はい!?」
そんな矢先に突然向こうから声を掛けられて、思わず声が裏返った。
「さすがに職場で取って食ったりしませんから、安心してください」
「真顔でそういうこと言わないでよ…」
いつかの初々しい天使の槙くんは一体どこへ…なんてしょうもないことを考えていると、目の前の瞳がすっと優しく細められた。
「さっきからなんなんですか、その百面相」
「えっ、そんなに変な顔してた!?」
「面白いからいいですけど」
「面白いって、女子としては複雑なんだけど…」
話す口調は天使じゃないけれど…不覚にも、目の前にある笑顔はやっぱり天使だと思った。