極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
それから彼が学内で一際目立つ人なのだと知るまでには、そう時間はかからなかった。

業界でも大きな力を持つ相沢グループの御曹司。
中学からファンクラブまであるという彼は、来るもの拒まず、去る者は追わず。
けれど入試は首席合格で、成績は申し分ないようで。
芸能プロダクションからのスカウトも何度かあったらしいけれど、そのたぐいの話は断り続けているらしい。

…という彼の存在を認識していなかった私に対しての周囲の驚きも、なかなかのものだった。

一連の話を聞いて最初は少し構えたけれど(特に女関係の部分で)。
向こうから何かをしてくることはなかったし、話してみるとそれなりにまともな人なんだとも思ったくらいだった。

「あ、またいる」
「そっちもな」
何度か屋上で会うようになって。

「あのね、今度雑誌の表紙やらせてもらえることになったんだ」
「へぇ、すごいじゃん」
いつの間にか、いろんなことを話すようになって。

「…っ、ぐす…っ」
「いくらでも泣いていいから。だから…一人で泣くな」
見上げたすぐ近くに涙でぼやけた雪の顔があって。人前で久しぶりに泣いたその日、初めて雪とキスをした。
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