極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
連絡、しないわけにはいかないよね…
仕事を終えて綺麗に片づけたデスクの上に置いた小さな紙切れを見て、今日何度目かのため息をついて。
深呼吸をしてから、意を決して携帯の通話ボタンを押した。
「お待たせ」
待つように言われたエントランスの前にいる私の前に高そうな車が停まったのはそれから数分後のこと。
ピカピカに磨かれた長い車に、運転手付き。
窓から顔を出した相沢社長の背後からは、もう後光が差しているようにさえ感じられる。
「…お疲れ様です」
「うん、お疲れ様。どうぞ乗って」
丁寧にドアを開けてくれた運転手さんにお礼を言って車に乗り込み、相沢社長の隣に腰を下ろした。…少しだけ、距離をあけて。
「なんだか絶妙な距離だね」
「私たちの実質的な心の距離かと」
「それはくっつくまでもうあと少しってことでいいのかな?」
「失礼しました、もう少し離れますね」
手厳しいなぁなんてくすくす笑う彼の調子に巻き込まれないように思考を働かせながらも車に揺られていると、ほどなくして車は静かな料亭の前で停まった。
「っ、おいしい…」
「よかった」
けれどそんな私の警戒は、品の良い女将さんが出してくれる美味しすぎる料理の前にあっという間に解けていた。
感動すら覚える先付けに舌鼓を打ったところで、視線を感じて顔を上げる。
「…あの、私の顔に何か付いてますか?」
「いや、美味しそうに食べるんだなと思って」
「あ…相沢さんこそ、仕事中とは少し雰囲気違いますね」
「まぁ今は完全にプライベートだからね。それになんだか茜ちゃんのこと見てると、肩の力が抜けるみたいだ」
なんでだろうね、そう言って笑う相沢さんはなんだか子どもみたいで。
見ているこっちまですっと力が抜けていくみたいだった。
仕事を終えて綺麗に片づけたデスクの上に置いた小さな紙切れを見て、今日何度目かのため息をついて。
深呼吸をしてから、意を決して携帯の通話ボタンを押した。
「お待たせ」
待つように言われたエントランスの前にいる私の前に高そうな車が停まったのはそれから数分後のこと。
ピカピカに磨かれた長い車に、運転手付き。
窓から顔を出した相沢社長の背後からは、もう後光が差しているようにさえ感じられる。
「…お疲れ様です」
「うん、お疲れ様。どうぞ乗って」
丁寧にドアを開けてくれた運転手さんにお礼を言って車に乗り込み、相沢社長の隣に腰を下ろした。…少しだけ、距離をあけて。
「なんだか絶妙な距離だね」
「私たちの実質的な心の距離かと」
「それはくっつくまでもうあと少しってことでいいのかな?」
「失礼しました、もう少し離れますね」
手厳しいなぁなんてくすくす笑う彼の調子に巻き込まれないように思考を働かせながらも車に揺られていると、ほどなくして車は静かな料亭の前で停まった。
「っ、おいしい…」
「よかった」
けれどそんな私の警戒は、品の良い女将さんが出してくれる美味しすぎる料理の前にあっという間に解けていた。
感動すら覚える先付けに舌鼓を打ったところで、視線を感じて顔を上げる。
「…あの、私の顔に何か付いてますか?」
「いや、美味しそうに食べるんだなと思って」
「あ…相沢さんこそ、仕事中とは少し雰囲気違いますね」
「まぁ今は完全にプライベートだからね。それになんだか茜ちゃんのこと見てると、肩の力が抜けるみたいだ」
なんでだろうね、そう言って笑う相沢さんはなんだか子どもみたいで。
見ているこっちまですっと力が抜けていくみたいだった。