極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
「あーちょっとぶっ飛びすぎたかな…」
何も言えずにフリーズする私を見て、少し困ったように頭をかきながら相沢社長が言葉を続ける。

「俺と結婚を前提に付き合ってみない?ってこと」

突拍子のないその台詞に、冗談を言っているのかと思わず笑い飛ばそうとした。
…けれどそんな私の気持ちを知ってか知らずか「悪いけど、冗談じゃないから」と付け加えた彼の表情は思いのほか真剣で、小さく息をのむ。

「とりあえず今日は送るから、乗って」
「は、はい…」
それから乗り込んだ車の中でのことは、よく覚えていない。
気が付いたら、窓の外には見慣れた私のマンションが見えていた。

「…今日はありがとうございました」
目を合わせられないまま後部座席の窓から顔を出す相沢さんに向かって、お礼を伝える。

「こちらこそ今日は楽しかった、ありがとう」
「じゃあ私はこれで…」
「あ、ちょっと待って」
「え?」

私が顔を上げるのと同時に腕が伸びてきて、唇に温かいものが触れた。
絡みつく舌と後頭部に回された手に優しく捉えられて、一瞬時が止まる。

「…っ」
「返事はいつでもいいから、今のも考える参考にでもしてみて。じゃあおやすみ」

車が見えなくなった瞬間、膝の力が抜けて思わずその場にしゃがみこむ。
そうしてとびっきり甘い熱を残した彼は、嵐のように去って行ったのだった。
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