極上求愛～過保護な社長の新妻に指名されました～

「すごい！お二人とも、青山トレーディングにお勤めなんですね」

数分前に声を掛けてきた男の人たちとどんどん会話を広げていく茉優。
一瞬たりとも口角が下がらないその姿には、もうさすがとしか言いようがない。

笑顔、声のトーン、視線を交わらせる距離感。
そして基本聞き手の…相手に合わせた、相手を気持ちよくさせる会話術。
そのどれもが、彼女がモテる理由なのだろう。

こういう場に来ること自体が初めてで、何が正解なのかはわからないけど…

『相手が何歳だろうと、男のプライドだけは絶対に傷付けないこと』

私たちと違って場慣れしている茉優が話していた昨夜のそんな台詞は、なかなか良いところをついているのではないかと思う。

そんなことを考えながら感じるのは、傾けたグラスから喉に流れ込む細かく弾けるような泡の刺激。

けれどそれが少しくすぐったく感じてしまう私には、やっぱり賑やかな居酒屋で飲むビールの方が性に合っている…と、つくづく思う。

かと言って、こんな風に女子力の高いワンピースを着て優雅に楽しむ時間が嫌いだというわけではない。
むしろ女子としては定期的に経験すべきだと思う。たまにでいいけど。