極上求愛～過保護な社長の新妻に指名されました～

「ただ…あまりにも気持ちよさそうに寝てるから、起こせなくて」

「ここまで連れてきちゃったけど」そこで少しだけ間を置いてから、形のいい彼の唇が再び開かれていく。

「どうする？」
「え？」
「茜ちゃんが帰りたいなら、今から家まで送っていく」

突然こちらに求められた答えがすぐには見つからなくて、一瞬目を瞬いた。
けれどそれさえもふわっと導くかのように言葉が続けられていく。

まるでエスコートするかのように、ごく自然な所作で。
そしてそれは、彼が食事の時にスパークリングウォーターしか口にしなかった答えでもあった。

「でも」
鼓動が高鳴り、冷静でいたいと思う思考が脅かされていく。
その間にも逸らせなかった視線がゆっくりと近づいて、ベッドがぎしっと音を立てた。

「茜ちゃんがこの前の返事にオッケーをくれるなら、俺は帰したくないと思ってる」
「…っ」
低いのに耳馴染みのいい、どこか色気を帯びた声が鼓膜に響く。

少しづつ詰められる実質的な距離の傍らで、内側までも少しずつ。
私が拒否をしようと思えばできる逃げ道を要所要所に開けながら、まるで私の気持ちを探るように彼は近づいてくる。

「茜ちゃんの気持ち…聞かせて？」