極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
「うわ、綺麗…」

視界が自然の眩さでいっぱいになったとき、不意に歓声が聞こえて。
賑やかな方に視線を向けると、ガーデンでウエディングパーティーをする男女の姿が目に入った。

たくさんの人たちに囲まれて幸せそうに見つめあう主役の2人と、そんな2人を祝福する周りの人たち。
その笑顔が溢れる光景は、自然と拍手を送りたくなるような温かいものだった。

全く知らない人たちであっても見ていてこんなにも幸せな気持ちになる結婚式は、やっぱり素敵である。

「って、悠長に人の幸せ祝福してる場合じゃないか」
独り言のように零れた言葉とため息を飲み込んで中に戻ろうとしたとき…くらっと眩暈に襲われて、とっさに手すりに手をついた。

最近ちょっと寝不足だったかな…なんて考えながら手すりに背を預け、もたれかかっていると。


「…大丈夫ですか?」

自分よりも少し上の方からそんな声が聞こえて。
顔を上げて返事をしようとしたけれど、瞬間ぐらっとしてそのまま目の前の胸に倒れ込んでしまう。

「!」
…しまった、そう気付いたときには自分のワンピースと目の前の人のスーツは私の手にあったシャンパンで濡れてしまったあとだった。
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