極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
「お待たせしました」

そう言って相沢さんが座る目の前の机に出来立てのハンバーグがのったお皿を並べる。

「お母さんの味には及ばないかもしれませんが、気持ちだけは込もってます」
「茜ちゃん…」

少しでも疲れた体を癒してほしい…そんな気持ちを込めて作ったハンバーグは、以前聞いたご実家の話から連想したものだった。

ちょっと緊張するけど、喜んでもらえたらいいな…

そうは思うものの、やはり隠せないドキドキを感じながら相沢さんが一口サイズに切ったそれを口に運ぶ様子を見守る。

「…うまい」
「本当ですか?よかった」

一口食べてぱっと笑顔になった彼の様子に、ほっと胸を撫で下ろした。

「味ももちろんだけど…覚えててくれたんだね、俺の話」
「当たり前じゃないですか!好きな人の話くらいちゃんと覚えてます」
「っ…」

そう言った瞬間、相沢さんの顔がほんのりと赤くなった気がして。
だけどありがとう、そう言われたあとにはいつも通りに戻っていたので、感じたことは心の中に秘めておくことにした。


「ごちそうさまでした」

綺麗になった2人分のお皿を片付け洗っていると、相沢さんがやってきて再び抱きしめられる。

「洗い物は、あとでよくない?」

後ろから伸びてきた手が、流れる水を強制的に止めた。

「もう我慢できないかも」
「…っ」

耳元で声が聞こえたかと思うと顎を掬われ、重ねられた唇。

初めは優しかったキスも次第に深くなり、身体ごと相沢さんの方を向く。甘い吐息がより深く混ざり合い、容赦なく奥まで奪われる感覚に相沢さんのことしか考えられなくなる。

「…っ、相沢さ…」
「雪」
「え?」
「雪って呼んで?…茜」
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