極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
「歳は?」
「えーっと、33歳」
「ふーん。見た目より上なんだな」

「仕事は?何してる人なんだ」
「IT系。ファッション分野に特化してるから、今はうちの部署と一緒に新しい企画も進めてるんだ」
「あー、だからウチの会社に出入りしてんのか」

「いつから付き合ってるんだ?」
「付き合い始めたのは最近…って、秋ちゃん。なんかお父さんみたいなんだけど」
「な…っ、俺はまだ28だぞ」

言いながら顔を赤らめる秋ちゃんに、思わず笑顔がこぼれてしまう。

「だって、さっきから雪さんの質問ばっかりなんだもん。私のこと心配してくれてるんでしょう?」
「…まあ、そうとも言える」
「なにそれ」

大人になっても相変わらず過保護なんだから…
なんて思ったことだけは飲み込んで、いくつになっても変わらない優しい幼なじみに笑顔を返す。

「幸せなのか?」

そうして少しの間のあと…手元のグラスを飲みほしてから向けられた真剣な眼差しに答えるように、真っすぐにそれを見つめ返した。

「うん、幸せだよ」
「…なら、いい」

深く息を吸い込んでから微笑んだ秋ちゃんの瞳は、今まで見たどれよりも優しい気がした。

…それっきり、雪さんの話は出ないまま。

「ちょっと飲みすぎたかもなー、明日も仕事だしそろそろ帰るか」
「ん、そうだね」

他愛もない話でひとしきり盛り上がったあと、私たちの久しぶりの飲み会はお開きを迎えたのだった。

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