極上求愛～過保護な社長の新妻に指名されました～
「ただいまー」
「あ、おかえり茜」

秋ちゃんと別れて家に帰ってきた私を迎えてくれたのは、リビングでパソコンとにらめっこをする夕だった。

「持ち帰りの仕事？」
「そうなの…新作のアプリ、シナリオも担当することになっちゃって」

ぐっと背伸びをする夕が、疲れた顔を隠すように笑顔を見せる。

「プランニングとライター兼任ってこと！？」
「そうなんだよね…ただ私の恋愛経験値ではシナリオ製作には限界あり」

鞄を置いて、キッチンで２人分のカップを用意しながら夕の話に耳を傾ける。

「どんな話なの？」
「大人になってから再会した幼なじみとの恋愛ものなんだけど…」
「幼なじみ…」
「どうかした？」

ある人のことが頭に浮かんで思わずこぼれた呟きに、夕が不思議そうに首を傾げた。

「いや、今日ちょうどさ、幼なじみのほら…秋ちゃんってわかる？」
「あぁ茜とおんなじ会社のイケメンさん？」
「イケメンかはわからないけど…うん、その秋ちゃんと今日ちょうど飲みに行ってて」

ソファに背中を沈める夕の前に淹れたてのコーヒーを置いて、自分も近くの椅子に座りながら話を続けていく。

「ベタだけどさ、小さい頃は大きくなったら結婚しようね～とか話したりもしてたなぁって」
「秋さんって、茜にとってどんな存在なの？」
「面倒見のいいお兄ちゃんって感じかな、今も昔も変わらないよ」
「なるほど。そういうものなのかな…思われる側目線は」
「え？」

最後の方が聞き取れなかった気がしたけれど、何でもない様子の夕の姿にそれ以上気にすることはしなかった。
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