極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
「そういえば先輩、もうすぐ誕生日でしたよね?」
――昼休み。
隣から飛んできたそんな言葉を頭の中で反芻してから、声の主である美月ちゃんに目を向ける。
「…あ、そういえば」
「まさか忘れてたんですか!?」
答えるまでに間があったことで、すっかり頭から抜けていたことがどうやら美月ちゃんにバレたらしい。
「その調子じゃ彼氏さんにも言ってないんじゃ…」
「いや、自分から言うのもなんていうか」
「いや、言わないとわからないですから!」
最もなその意見に口ごもる私に、美月ちゃんが容赦なくたたみかける。
「付き合ってるのに、もし先輩が知らない間に彼氏さんの誕生日が過ぎてたらショックじゃないですか!?」
「はい、その通りです…」
美月ちゃんの指摘ってほんと毎回的を得すぎてて、反論する隙間もない…
とはいえ、カレンダーに目を向けると誕生日までちょうど1週間を切ったところだった。
「いくら仕事が忙しくたって、いくら行事ごとと重なってたって、誕生日は1年で1回だけのその人だけが主役になれる特別な日なんですよ!…って、聞いてます?」
「聞いてる聞いてる!」
カレンダーから慌てて視線を戻し、怪訝そうな顔の美月ちゃんに向けて満面の笑顔で首を縦に振る。
――2月14日、世間ではバレンタインデーであるその日が、私の誕生日だ。
今日は話してみようかな…そう思いながら携帯を開いた。