極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
「ふぅ…」
ため息が嫌に大きく響くのは、オフィスがしんと静まり返っているからである。
いろんな意味で私のことを心配して「手伝います」そう申し出てくれた美月ちゃんに大丈夫と小さく首を振り、1人会社に戻ってきたのだった。
そもそもこれは別に今日やってしまわなくてもいい仕事である。だけど、何かしていたかった。何かしていないと、思考が嫌な方へとどんどん向かってしまいそうになるから。
みんなが帰ってから3時間ほど経った時刻は、もうすぐ夜の8時になろうとしている。
「さすがにちょっとやりすぎたかな…」
椅子の背もたれに寄りかかって固まった身体をほぐすようにぐっと両手を上に伸ばし上げた瞬間、コトリと音がしてデスクの上に缶コーヒーが置かれた。
「おつかれ」
頭上から降ってきたそんな優しい声の方に顔を向けると、私を見下ろす秋ちゃんの姿があって思わず目を見開いてしまった。
「秋ちゃん、なんでこんな時間に…」
「俺は茜んとこの編集長に書類出しに来たんだけど…それより」
秋ちゃんが眉間に皺を寄せながら、口を開く。
「なんでこんな時間にはこっちの台詞。お前今日誕生日だろ?彼氏は?」
“誕生日”“彼氏”。
出てきた2つのワードが突き刺さるように一気に心の奥まで入っていく。
ため息が嫌に大きく響くのは、オフィスがしんと静まり返っているからである。
いろんな意味で私のことを心配して「手伝います」そう申し出てくれた美月ちゃんに大丈夫と小さく首を振り、1人会社に戻ってきたのだった。
そもそもこれは別に今日やってしまわなくてもいい仕事である。だけど、何かしていたかった。何かしていないと、思考が嫌な方へとどんどん向かってしまいそうになるから。
みんなが帰ってから3時間ほど経った時刻は、もうすぐ夜の8時になろうとしている。
「さすがにちょっとやりすぎたかな…」
椅子の背もたれに寄りかかって固まった身体をほぐすようにぐっと両手を上に伸ばし上げた瞬間、コトリと音がしてデスクの上に缶コーヒーが置かれた。
「おつかれ」
頭上から降ってきたそんな優しい声の方に顔を向けると、私を見下ろす秋ちゃんの姿があって思わず目を見開いてしまった。
「秋ちゃん、なんでこんな時間に…」
「俺は茜んとこの編集長に書類出しに来たんだけど…それより」
秋ちゃんが眉間に皺を寄せながら、口を開く。
「なんでこんな時間にはこっちの台詞。お前今日誕生日だろ?彼氏は?」
“誕生日”“彼氏”。
出てきた2つのワードが突き刺さるように一気に心の奥まで入っていく。