極上求愛～過保護な社長の新妻に指名されました～

「風呂入ってくれば」
「へ？わあ…っ」
立ち上がって目に飛び込んできた光景に、思わず側にあったバスタオルを目の前の茜に投げつけた。

「な、なに…」
「ほとんど茜がかぶっただろ、水」
見事に宙を舞ったバケツは、綺麗に中身が空っぽになった状態で床の上に転がっている。
茜が上になっていたおかげで俺はほとんど濡れなかったんだけど。

「その…頼むから着替えてくれ」
そんな俺の言葉に気が付いたように濡れた自分のブラウスに一瞬目をやってから、茜が持っていたバスタオルを勢いよく身体に巻き付けた。

「干しとくから、ブラウス。出しといて」
「わかった…ありがとう」

赤い顔を隠すように茜がパタパタと足早にバスルームに向かっていく。
扉がしまったのを確認してから、はあっとため息を吐いた。

落ち着け、俺…

この歳になって透けた下着を見ただけで動揺している自分が情けない。
それが茜だっていうだけで、なにもかも普通でいられない。

「中学生か俺は…」
こぼれた呟きは虚しく一人の部屋に響いていった。