極上求愛～過保護な社長の新妻に指名されました～

「さて、どうするかな…」
頭を冷やすようにコップに入れた水をゆっくり飲み干す。
シャワーの音がかすかに聞こえる室内で、どさっとソファに背中を預けた。

時計の針は午後１１時を差している。茜の誕生日が終わるまで、あと１時間。

我ながら馬鹿な事してるよなー、俺。
でもこれぐらいしないと、心から２人のことを認めてあげられそうになかった。
どっかではっきり気持ちに整理をつけないと、２人のことにいつまでも口を挟んでしまいそうだった。

結局は勝手な都合で２人を振り回している自分に呆れて、ため息をつく。

茜の幸せを願っているのは、本当。
だけど、隣にいるのが俺じゃないことが悔しくてたまらないのも本当。
…ただの悪あがきだ。

「あー！なんなんだもう…」
閉じ込めてきた気持ちが一気に溢れ出して、制御出来ない。
少しでも気を抜いたら、茜のこと押し倒してめちゃくちゃにしてしまいそうなくらいに。

こんなとこ、樹に見られたらおもいっきり笑われるんだろうな…
ふいに幼馴染みの顔が頭に浮かんだ。

「なんで茜と別れたんだよ、樹…」