サワーチェリーパイ 6ピース
その日作ったパスタは、どれもしょっぱくなるほど。


きっとマンマは、僕が開店する店を放り出してイタリアに帰る事を望んでいなかったんだろう。


僕を愛してくれていたから。


「シェフ! 手! 」
「オー! 」


いけない、またボンヤリしてた。


「今日の花嫁さん、わざわざ遠くからいらしてくれるんですよ」
「ソウ……」


僕のマンマも、日本からイタリアに……。


ああいけない、また手が止まる。


「これ飲んで、シャキっとして下さい」


レイコちゃんから渡されたのは、僕の大好きなエスプレッソ。



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