サワーチェリーパイ 6ピース
この想いは、伝えちゃいけない。


だって僕はもう後少ししかここには居られない、イタリアに帰らなくちゃいけないから。


それに桃ちゃんには、彼氏が居る。


この僕を振ってまで、泣いてまで付き合ってる彼氏が。


「イコウ、モモチャン」
「うん」


手を取って立ち上がらせようとした時、僕がバランスを崩してしまい、座っていた大きな岩から川の中へ2人で落ちた。


まだ6月、山の中の川は冷たい。


「オーッ! 」
「キャーッ! 」


なんとか川岸に上がれたものの、2人はビショ濡れ。


「アーリオッ! もう……」
「ゴメンナサイ……」
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