サワーチェリーパイ 6ピース
何としても高校受験は成功させて、家の跡を継ぐために医者への道を進まなければいけないんだから。


しかし、隣に毎回座られると意識してしまう。


彼女も彼女で、入ったばかりのこのクラスで授業に付いて行くのに必死だし、そのためには一番前に座るのが当たり前なのだ。


僕に好意なんか寄せてないはず、だから意識しないようにしなくちゃ失礼だ。


同じ仲間、勉強のための。


彼女だってそう、きっと一流校を目指して頑張っているのだ。


僕のいる上級クラスの授業はハードで、宿題の量もハンパではない。


中学3年、時間も余裕も無い僕は授業が終った後にその場へ居残り、宿題を片付けてから帰るのが習慣になっていた。


ルナちゃんが入って来て、3ケ月が過ぎた頃。


今日も1人で自主居残りをしていたら、不意に目の前から甘い香りが漂う。
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