彼は高嶺のヤンキー様(番外編)
まあ、わざと言ってくる嫌がらせや皮肉には、ブチギレたけどな。
それで仕事先を数件やめてる。
さらに言えば、男だってわかってて、ヤクザ男に延々(えんえん)とストーカーされ、やめる羽目になった数の方が多いけどな。
あのスケベヤクザ・・・最後まで、俺と瑞希がデキてるってぬかしやがって・・・!
マジでヤキ入れしてよかったわ。
だから、カウンセリングを言い出すほどとなれば、見た目しかない。
「女に間違えられるのが、そこまでストレスになってんかよ?」
気を遣いながら言えば、瑞希は予想以上にキレた。
「なんでだよ!?俺はそこまでメンタル弱くねぇーぞ!?」
あれ?違う?
(女間違えられんのが、積もり積もって爆発中じゃねーの??)
そう思いながら、話を続ける。
「けどよ、困り事なんだろう?どんな面倒に遭遇したんだ?」
「面倒とか!!そーじゃねぇけどよぉ〜・・・!」
歯切れの悪い返事。
確実に困ってるのは、間違いないが・・・
(瑞希のことじゃなさそうだな。)
元々、こいつは自分のことは言わない。
死んだ後輩のことも、自分の感情はあまり口にしない。
ぶちまけて言える相手が最近できたので、吐き出せて入るはず。
気は、まぎれていると思う。
第一、ツラが・・・長年の付き合いでわかるんだよなー・・・
(瑞希自身のことじゃないって。)
そうなるとー・・・・・
「凛たんか?」
「うっ。」
わかりやすく動揺する瑞希。
隠せてない、正直な反応。
「凛たんだな。」
確信して、断言する。
マブダチ相手に、言い逃れすんなよ、瑞希ちゃん?
「・・・まあ、な。」
俺の念が通じたか、瑞希が学習出来ているのか。
諦めて観念した顔で、すねながら瑞希は同意した。