彼は高嶺のヤンキー様(番外編)
◆ワタヌキの有効活用◆
覚悟はしていた。
「こんにちはー瑞希お兄ちゃん!凛が来ましたぁ~!」
「おう!来たか、凛!」
出迎えてくれた瑞希お兄ちゃんは、本日も変わらず笑顔。
だけど若干、ニンマリしていた。
(何かを企んでそうな笑顔・・・)
そう思ったら、愛しいあの方は言った。
「凛、聞いたか!?新年号が、今発表されたんだぜ!」
「え?そうなんですか?何というのですか?」
「あははは!なんてな♪わりぃ、嘘だ!」
「嘘・・・?」
「おう!まだ発表の時間じゃねぇーぜ?」
(やっぱりね・・・)
可愛い笑顔でドヤ顔する相手に、胸がキュン!とする。
「だまされたなぁ~凛?今日は4月バカだぞ~?」
ニヤニヤしながら近寄ると、僕の頭をナデナデする愛しいお人。
完全に、僕をだましたと思ってご機嫌な彼に、あえて僕も合わせてみる。
「もぉ~!ダマすなんてひどいですぅ~!」
「ははは!気づかないで、騙された奴が悪い日なんだぞ~今日は?」
「瑞希お兄ちゃんの意地悪ぅ!」
「わりぃわりぃ!」
(・・・なーんてね。)
ご機嫌を取るように、僕の頭やほっぺを撫でまわす瑞希お兄ちゃんを見て思う。
よりによって、4月1日に元号が変わるということで・・・絶対、それ関係の嘘を言うことは予想していた。
だからこそ僕は思っていた。
「嘘つくなんて、ひどいですぅ~!」
「ごめんって~よしよし!機嫌直せよ?」
「お兄ちゃん嫌ーい。もぉ~性質の悪い冗談すぎますよぉー?」
「だから~もうだまさないって?なぁ?」
「約束ですよぉ~?」
(拗ねるふりをして、瑞希お兄ちゃんにビシバシとスキンシップをするチャンスだと!!)
おかげ様で、いつもより甘やかしてもらえた気がしました。
めでたし、めでたし♪
〔★凛は今日も、ちゃっかりしている★〕