午後4時30分 有馬先輩の秘密の彼女
「…足、遅い」



そのテノールボイスがエレベーターの中に響いたとき、私の中で時が止まった。



「走らなくても追いついた。つーかお前遠回りしてたし。」



…そうだ、忘れてた。

この人中学までサッカー選手だったんだ。しかも勉強も学年1位。


美術部で体育の成績2、おまけにテストで下から5位の私がかなう相手じゃなかったんだ。



「…あ、あれえ?先輩ももう戻るんですか?奇遇ですねぇ~」



奥の手・知らんぷり☆



「へぇ…よく言うよ。俺にさんざん暴言言って逃げたくせに」



ギクッ



「…せ、先輩それ水着ですよね?外でシャワー浴びないんですか?」

「海には一回も入ってないし一切水には触れてない」



お願いだからこのまま逃がしてよ神様。

有馬先輩の意地悪さは全国大会優勝できるレベルだよ??



「泳ぐ気がないならなんで水着なんか…」

「私服濡れたり汚れたりしたら嫌だから」


何言っても言い返される…だめだ。

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