午後4時30分 有馬先輩の秘密の彼女
ポンッ

「嘘だよ。あいつらが知ってるのは舞香先輩に俺が脅されて吐かされただけ。」

「え、舞ちゃんが…!?」



バッと顔を上げると、そこにはいつも通りの無表情に戻った有馬先輩。

さっきまで笑ってたのにちょっと残念だ。



「自分の従姉妹がどんな奴か、もう忘れたわけ?」

「た、確かに舞ちゃんはすぐ人のこと脅すお嬢様だ…」



思い当たる節もいくつか…



「第一、俺があんなめんどくさいやつにホントの事言うわけないじゃん。」

「う…」



それも先輩の言う通りだ。あの有馬先輩が自ら面倒なことに首を突っ込むとも思えない。



「それなのにお前は馬鹿だのなんだの罵りやがってなぁ」



有馬先輩の口角が不気味に上がった。


お、怒ってるー!!!



「ご、ごめんなさい!!すいません!!」

「バカって言葉はお前にだけは言われたくないっつの」


パチンッ


「痛っ!!デコピン…!!!」

「これで済んだだけ感謝しとけバカ」

「はい、すいません…」



さすがに、今回は反省しないと…



そう思って俯いていると

グイッ


「え?…んっ」



突然じわじやと唇に熱が伝わってくる。



こ、これって…キス!?



「ん!!んーーー!!!」



息続かないよ!死んじゃう…!!


そう思ってばしばしと先輩の胸を叩くと、先輩はようやく離れていく。



「ぷはっ!!はぁ、はぁ…」

「へたくそ」

「先輩が慣れてるだけでしょ!?窒息しちゃうじゃないですか!!」

「ばーか。息って鼻からでも吸えるって知ってるか?」

「それぐらい知ってます!!!」



前言撤回!!

やっぱり反省なんかしない!!


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