午後4時30分 有馬先輩の秘密の彼女
パタン…




ん?何の音?





「……ねえ、うるさいんだけど?」




……。




「っ!!あああ!!!人!!人がいたー!!」




さっきの音は図書室のカウンターの奥の扉が閉まった音で、そこから出てきたと思われる男の人が近づいてくる。




あぁ、やっと帰れる…!




……って、ちょっと待って。この人…!!




「ねえ、うるさいっていってんじゃん。ここがどこだかわかってる?」



「うにゅっ」





未だに小指を抑える私の前でしゃがんだその人は、私の両頬をつまんで引っ張った。




でもそんなことは正直、どうでもよかった。ちょっと痛いけど。


……だって、この人めちゃくちゃイケメンなんだもん!!!



サラサラの茶髪、スッととおった鼻筋、大きい瞳、小さな顔。





まるで絵本や漫画から飛び出してきた王子様みたい。


完璧に私のタイプどストライクだ。



「…ねぇ、俺の話聞いてる?何考えてるのか知らないけど……ってかあんた、1年?1年って午前で下校だよね?なんでこんなとこにいるわけ?」




ギクッ!





「ど、どどどうして私が1年だってわかったんですか!?」




「…ブレザーぶかぶかだし、制服にはしわひとつない。それに上履きの色が1年。

あとは…そのわかりやすく動揺した態度」




接近してきた男の人にボソッと耳元で呟かれ、思わず顔が熱くなる。




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